HBOC診断のためのBRCA1/2遺伝子検査
乳がん患者さんのうち、約7~10%は遺伝性乳がんであるといわれており、遺伝性乳がんかどうかは遺伝子検査をすることで判明します。遺伝性乳がんのうち、最も多くの割合を占めているのが「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」と呼ばれる乳がんです。
そして、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)かどうかを診断するために行うのがBRCA1/2遺伝子検査(BRCA1遺伝子・BRCA2遺伝子検査)です。
2020年4月より、下記の条件のうち1つでも該当する乳がん患者さんの場合、HBOCの診断のためのBRCA1/2遺伝子検査を保険適用で受けれるようになりました。とはいえ、検査自体の費用は3割負担で60,600円。受けるかどうかは患者さんの自由意志です。強制されることはありません。
BRCA1/2遺伝子検査について
BRCA1遺伝子とBRCA2遺伝子に病的変異があるかどうかを調べます。これらの遺伝子のどちらかに病的変異があった場合、HBOCと診断されます。検査は採血(約7ml)した血液で行い、検査結果が出るまで約3週間ほどかかります。
HBOCでリスクが高くなるのは、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓癌と言われています。 HBOCにみられるBRCA1遺伝子とBRCA2遺伝子の病的な変異は、性別を問わず親から子へ2分の1の確率で受け継がれることが知られています。ですが、BRCA1/2遺伝子に変異があったとしても、必ず乳がんや卵巣がんを発症するわけではありません。
<遺伝子検査を受けた場合の利益・不利益>
検査結果が陽性だった場合、生まれつき乳がんや卵巣がんにかかりやすい体質が分かることで、早期発見・予防のための対策や将来の人生設計に役立てれるとプラスととる人もいれば、これから乳がんや卵巣がんを発症するリスクが高いことを不安に感じる。血縁者のがん発症に対する不安や罪悪感を持つといったマイナスに考える人もいます。
検査結果や個人の考え方で検査の意味が異なります。
本人だけでなく 血縁者に与える影響も考え、検査の内容を十分に理解したうえで、受けるか受けないかの判断を。
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